今回は合同会社ユザカ企画様にインタビューをしてきました。
大湯温泉郷で大正時代から平成まで営業していた「かめや旅館」をリノベーションし、ゲストハウス「yuzaka」として甦らせた諏訪芳明さん・英子さん夫婦。自然との調和を大切に、地産地消を心がけながら宿を運営しているお二人に、かづのパワーと契約したきっかけや地元への思いについて伺いました。(2024年6月17日インタビュー)
――御社の事業内容を教えてください。
芳明さん 2019年8月に温泉付きゲストハウス「yuzaka」をオープンしました。祖母の親戚が運営していた「かめや旅館」をリノベーションしたものです。「かめや旅館」は大正時代に創業し、大湯温泉郷を訪れる湯治客や鉱山で働く人々、十和田湖観光の拠点として長い間賑わっていましたが、平成の初めに閉館してから30年以上、活用されていませんでした。私自身は関東で生まれ育ち、働いていたのですが、田舎暮らしに興味があったこともあって移住してゲストハウスという形で旅館を継ぐことを決めました。
「yuzaka」のコンセプトは、「自然と共にあること」「古代からこの土地を守られている八百万(やおよろず)の神を大切にすること」で、この土地にあるものを使って生きていくことを重視しています。料理も、食材はできるだけ地産地消を心がけ、伝統的な手作りの発酵調味料や湧き水を使っています。最近は菓子製造の許可を取り、てんさい糖や甘酒など、昔からある調味料を使った焼き菓子の販売も始めました。
――かづのパワーと契約したきっかけを教えてください。
芳明さん そもそものコンセプトが自然との調和なので、早い段階から再生可能エネルギーを使った新電力と契約していました。その会社は、全国各地の再生可能エネルギー電源から調達しているようでした。料金等の不満はありませんでしたが、調達先には西日本の方の太陽光発電所なども含まれており、エネルギーが豊富な鹿角にいるのに遠くの実情のわからない発電所に間接的にお金を支払うことに違和感があったので、かづのパワーさんの展開に期待をしていました。
今年の1月頃、かづのパワーが個人や小さな事業者へも販路を広げたという情報と、4月から大湯にある水力発電所からの供給も開始されるという話が耳に入ってきたことが、かづのパワーに切り替えたいと思ったきっかけです。いくら再エネであっても、遠くにある実情のわからない発電所よりは、近くにあって様子もわかる発電所の電力を確実に使うことで、エネルギーも地産地消でありたいと考えていたからです。
――かづのパワーの電気を使うようになって、変化はありましたか?
芳明さん 「地元の豊富なエネルギーを分けてもらって宿を運営する」というのが、私たちのやりたいことにマッチしているので、かづのパワーと契約できてとても良かったと思います。電力が安定供給されているという部分に関しては、以前契約していた新電力もかづのパワーも変わりません。基準を電気料金に置いていないので、例え料金が多少高くなったとしても、かづのパワーと契約していたと思います。
再エネを使うということだけでなく、省エネに対する取り組みも進めてきました。ペアガラスや断熱材を使って熱効率を上げたり、薪ストーブを使ったり、少しずつ設備を更新しながら自分たちにできる取り組みをしています。将来的には、温泉の熱を利用したオンドルも導入できたらいいなと考えています。
――地元に対する想いを聞かせてください。
芳明さん 鹿角には、まだまだ見過ごされているエネルギーがたくさんあると思います。例えば、市内にたくさん流れている小川や農業用水路にマイクロ水車を設置して、集落ごとに発電してその電気を使えるようになると、より地産地消に近づいていくと思うんです。また、豊富に湧き出ている温泉の熱も、もっと無駄なく使うことができるようになっていったらいいと思います。
鹿角市のエネルギー自給率は300%を超えていますが、今のシステムだと、世界情勢による価格変動を全く受けないというわけにはいきません。ゆくゆくは、数字の上だけでなく、実際に地産地消を実現させて「この街に住んだら、世界情勢の影響を受けずに地元で発電した電気を安心して使える」という自己完結型のシステムができたらいいなと思うので、かづのパワーさんには期待しています。
英子さん 縄文時代には湧き水と温泉がある場所が一等地で、そこに人が集まりました。鹿角には今も、湧き水と温泉が豊富にあります。世の中の価値観は目まぐるしく変わっていきますが、この地にあるものを必要なだけ使わせていただきながら生活するというスタイルに価値を置く人は、今の時代にも変わらず存在します。これからも、縄文時代の一等地だったこの場所で、自然エネルギーを必要な分だけ使わせていただきながら「yuzaka」を運営していきたいと思います。